
先日、2026年6月度の資産公開 という記事を投稿し、「個別株やアクティブファンドはすべて売却し、新NISAでオルカン一本の体制に移行した」と書いたばかりだ。
新NISAをきっかけにようやく重い腰を上げたような投資初心者のくせに、「これからは余計な売買をせず、インデックス投資一本で淡々といくぞ」と心に誓っていた。
しかし、人間の欲望とは恐ろしいものである。 誓いを立てたわずか数日後、私はSBI証券の画面の前で、スペースX(SpaceX)関連の投資案件に50株・約120万円をぶっ込もうと、せっせと米ドルへの換金(ドル転)を済ませていた。
目の前に現れた「スペースX」という超強力な誘惑
宇宙ビジネスを牽引し、これから間違いなく世界を変えていくであろうイーロン・マスク率いるスペースX。投資に少しでも興味がある人なら誰もが「今のうちに、少しでもこの会社の株を持てたらどれだけ面白いか」と夢想する、超ド級の魅力的な銘柄だ。
SBI証券からその申し込みのお知らせメールが巡ってきたのを目にした瞬間、私の指は勝手に動いていた。
「50株で約120万円か。これから絶対に伸びる企業だし、退職金の入金口座を分散させる一時的な置き場としても悪くない。これくらいのスパイス(サテライト投資)なら、オルカン一本の退屈な運用の良い刺激になるじゃないか」
そんな、初心者特有の都合の良い言い訳が頭の中で次々と浮かんでくる。 気づけば120万円分の円をドルへ換え、勢いのまま申し込みの確定ボタンをポチッと押してしまっていた。

翌日に働いた、頭の中の「バグ検知」
しかし、一晩明けた次の日、頭の中で強烈な違和感が走り出した。
「おや? これって本当に正常な判断か?」
エンジニア時代にシステムのエラーを察知したときのような、あの嫌な感覚だ。 申し込んでおいて何だが、自分の行動を客観的に、冷徹に見つめ直してみる。
- 確かにスペースXはこれから爆発的に伸びるかもしれない。
- だが、「これから伸びる未公開の超有望企業」の情報を、私のような一介の素人がSBI証券の画面で手軽に買える段階で、それは本当に「秘密の好機」なのだろうか?
- そもそも、先週「すべての個別要素を排除して市場平均に丸投げする」というマイルールを決めたばかりではないか。
魅力的なストーリーに目を奪われ、完全に判断がバグりかけている自分に気づいた。 ハッと我に返った私は、翌日あわてて証券口座を開き、申し込み口数を「0」にしてキャンセル処理を行った。危うく大暴走するところだった。
残ったドルの例外処理(MMFへの移行)
とはいえ、正気に戻った私の手元には、勢いでドル転してしまった120万円相当の米ドルが丸々残ってしまった。
ただの素人とはいえ、このまとまった外貨をそのまま超低金利の外貨普通預金に眠らせておくのはもったいない。そこで、私は即座にこの米ドルを 「米ドルMMF(外貨建てMMF)」 へ移行させる手続きをとった。
現在の米ドルMMFは年利3%以上の金利を維持している。ここに資金を避難させ、毎月しっかりと分配金を稼ぎつつ、次の年初にやってくる「新NISAのオルカン一括投資」のタイミングまで静かに待機させることにしたのだ。
一度ドル転してしまった為替手数料(コスト)は勉強代になったが、ただの衝動買いで自滅せず、金利を回しながら本来の目的である「オルカンへの待機資金」へと綺麗に軌道修正できた。
……と、それっぽく書いているが、これも「スマートな例外処理ですね!」とAI(Gemini)にアドバイスされて「なるほど!」と納得した受け売りなのだが。
まとめ:退職後の「有り余る時間」という最大のリスク
早期退職生活に入ると、とにかく「相場やニュースを見る時間」が増える。 知識の浅い初心者だからこそ、余計な情報を見聞きすると、つい余計なトレードをしたくなってしまう。退職後の有り余る時間こそが、自分のような人間にとって最大の敵(リスク) なのだと、身を以て実感した事件だった。
(ちなみに、ここからさらに強烈な円高に振れたら為替差損で目も当てられないことになるのだが、そこは初心者のやらかした事として、今はそっと見なかったことにしたい……)
しばらくは、MMFでドルをのんびり管理しながら、これ以上余計な色気を出さずにじっとオルカンの枠埋めの時期を待とうと思う。
今回のドタバタで、ふと思い出した一冊
今回、スペースXの画面の前で「おや?」とブレーキがかかったとき、以前に図書館で借りてパラパラと読んだ本の一節がふと頭をよぎった。
市場平均(インデックス)に投資したら、あとは余計な手出しをせずじっと座っていること。それだけが、専門知識のない凡人の資産運用において結局は一番の近道なのだ、という内容がロジカルに書かれていた記憶がある。
今回のような「何か買いたい病」の発作が出そうになったとき、いつでも開けるように一冊手元に持っておけば、強力なブレーキになってくれるかもしれないな……と、今になって感じている。