メロン

以前、「福利厚生ポイント」を1ポイントも無駄にせず使い切るべき理由 という記事で、退職間際にカタログ改定の罠にハマり、スプレッドシートの計算が狂って大慌てした顛末を書いた。

あの後、迫り来る有効期限と戦いながら、私は再びPCの前でポイントの使い道を模索していた。

あれこれとシミュレーションを重ねた結果、せっかくの権利を最大限に活かし切るための納得の選択として我が家に迎え入れたのが、泣く子も黙る高級フルーツの王様、 「静岡クラウンメロン」 である。

なぜポイントの追い込みに「高級フルーツ」が最適なのか?

福利厚生のカフェテリアプランでポイントが数千〜数万点ほど余ったとき、多くの人が陥りがちなのが「そこまで欲しくない家電や日用品に変えてしまう」というパターンだ。

しかし、それではポイントを消化するためだけの買い物になってしまい、いまいち満足度が上がらない。そこで私が目をつけたのが、 「普段、自分のお財布からは絶対に買わない、ちょっと手が出ないレベルの高級グルメ」 への全振りだった。

特に1万円を超えるようなクラウンメロンの一級品は、残ったポイントを有効に、かつ満足度高く使い切るための選択肢として非常に優秀だったのである。

長年会社のために働いてきた自分への労い、そして何より、退職に伴うバタバタや私のわがまま(早期退職の決断)に付き合ってくれた妻へのささやかな還元としても、これ以上ない選択肢だと確信した。

有休消化中の時間と、メロンの「食べ頃」を待つ贅沢

数日後、厳重に梱包された箱に入って、我が家にクラウンメロンがやってきた。桐の化粧箱と紫色の敷物に鎮座し、トレードマークのシールが貼られた姿には神々しさすら感じる。

しかし、ここからが本当の戦い(?)の始まりだった。 メロンという生き物は、届いてすぐに包丁を入れてはいけない。最高の糖度と、あのとろけるような食感を味わうためには、数日間の「追熟」というプロセスが不可欠だ。

現役時代の忙しい日々であれば、「いつが食べ頃か」なんて毎日のように観察する心の余裕はなかったかもしれない。うっかり放置して熟れすぎて崩れてしまうのがオチだ。

だが、今の私には有休消化中のたっぷりとした時間がある。 毎日、キッチンの冷暗所に置いたメロンの様子を覗きに行き、

「お、お尻の部分が少し柔らかくなってきたな」 「心なしか、メロン特有の甘い香りが部屋に漂ってきた気がする」

と、その変化を五感で楽しむ。この「食べ頃をじっと待つ時間」そのものが、今のリタイア生活における何よりの贅沢なのだとしみじみ感じた。

いざ実食。100点満点のクオリティ

メロン

核心の「完全なる食べ頃」を迎えた日。 食べる数時間前に冷蔵庫でしっかりと冷やし、満を持して包丁を入れた。

一口食べた瞬間、妻と2人で思わず「うわ、すごいねこれ……」と言葉を失ってしまった。 溢れるほどのジューシーな果汁と、上品で濃厚な甘み。皮のギリギリのところまで、一切の手抜きなしで柔らかく甘い。スーパーで買う特売のメロンとは、文字通り次元が違った。

システム側の罠に怯えながら必死にポイントの使い道を考えた苦労が、この一玉ですべて報われた気がした。これにて、私の福利厚生ポイント消化ミッションは、100点満点の結果となった。

まとめ:モノより「記憶に残る贅沢」にポイントを使う

退職時の福利厚生ポイントの使い道に迷っている方がいれば、私は声を大にして 「中途半端なモノに変えるくらいなら、絶対に自分では買わない高級フルーツや一級品の肉に変えるべきだ」 とおすすめしたい。

形に残るものはいつか色褪せるが、退職した最初の月に、夫婦で「美味しいね」と言い合いながら食べた高級メロンの味は、これからの新しい人生のスタートを彩る素敵な記憶として、ずっと残り続けると思う。


自分へのご褒美や、お世話になった人へのギフトに

今回私がゲットしたクラウンメロンは、その徹底された栽培管理(1本の木にたった1玉だけを残して栄養を集中させる仕組み)ゆえに、味のハズレが絶対にないことで有名だ。普段使いにはさすがに敷居が高いが、お中元やお歳暮、あるいは大切な家族の記念日など、「絶対に失敗したくない極上の贈り物」としてはこれ以上のものはないと思う。あの感動の味を、誰かにお裾分けしたくなる気持ちが今ならよく分かる(というか、贈ったことはあるが、自身で一玉を手にするのは初めてだ)。